プロポリスはどこから来るか
多くの植物は、文字通り地面に根を張って、生きています。ですから敵に襲われたとしても、動物のようにその場から逃げ去るわけにはいかないのです。その代わり、植物は自分の身を守るために、化学的防御システムを進化させています。
つまりその植物を食べようとする動物に対して毒となるもの、苦い味がするもの、チクチク・ヒリヒリする刺激性のものなどを体内で用意しているのです。
柔らかい植物の芽は、何も防御対策を持っていなかったら、あっという間に昆虫のおいしいごちそうになってしまうでしょう。植物が粘り気のある液体を分泌して、柔らかい芽を守る例が多く見られます。植物体に傷ができると、すぐに傷口の周囲から樹脂が分泌され、保護・修復の第一段階がはじまります。人類も植物由来の強力な化学物質から大きな恩恵を受けてきました。
私たちの日常生活に欠かせない、アスピリン(ヤナギ類から)・カフェイン(コーヒー)・メンソール(ミントなどから)をはじめとして、その例は枚挙にいとまがありません。多くの医薬品も植物に由来しています。
人類と同じように、ミツバチも植物から強力な化学物質を採集しています。樹液や樹脂を植物から集め、巣板に塗りつけているのです。
ミツバチはどうやってプロポリスを集めるか
ミツバチは大あごを用いて、植物の樹脂を少しずつかじり取っては、これを2本の後ろ脚にある花粉籠に詰めていきます。
花粉籠ひとつに約10mgのプロポリスを入れて巣に飛び帰れます。大変ねばねばした物質なので、プロポリスを集めるのは時間のかかる作業です。両脚の花粉かごを満たすまでに1時間かかることもあります。巣に戻ると、運んできたプロポリスの荷下ろしにまた同じくらいの時間がかかります。
プロポリス採集は気温が18℃以上のときにだけ行われます。ミツバチはときには、人造物を集めてプロポリスと同じ目的に利用していることが観察されています。例えばまだ乾ききっていないペンキ・柔らかいコールタールやワニスなどです。
おそらくミツバチから見ると、これらの物質も植物樹脂と同じような粘り気と強い匂いがあるのでしょう。
全てのミツバチがプロポリスを集めるのか
そうではありません。
トウヨウミツバチは明らかにプロポリスを使わないミツバチ種の一つです。セイヨウミツバチでも亜種によって、プロポリスの利用程度に大きな違いがあります。コーカシアンは特にプロポリス採集に熱心な亜種です。
プロポリスには何が入っているのか
ハチミツとは何かと一言では言えないのと同じように、プロポリスを簡単に定義することもできません。ミツバチが何を見つけられたかによって変化するからです。
一般的には植物樹脂・ワックス・揮発性のオイルと花粉・そのほかビタミン類・ミネラルとフラボノイドなど植物由来の化学物質が含まれます。プロポリスを市場で販売する人々にとって、標準化した生産物を供給するのは困難の多い課題です。
人間にとってのプロポリス
プロポリスは薬として長く使われてきました。プロポリス入り歯磨き・石けん・それに軟膏も多くみられます。
喉の痛みや歯痛対策にも重宝だといわれます。エンドウ豆大のプロポリスを口に含んだままにしておくのです。プロポリスチンキは原塊をエタノールで溶解して作ります。
プロポリスは抗生物質なのか
そういえるでしょう。
プロポリスの抗細菌活性は証明されています。多くの科学研究からプロポリスは様々な薬効特性を持つといわれています。
プロポリスを収穫するには
採集しやすいサイズのプロポリスをミツバチに生産させるために、手軽な方法があります。
穴を開けた網状のシートを巣箱の中に置くのです。隔王板と似ていますが穴はもっと小さく、6mm以下のサイズが良いでしょう。ミツバチはこの隙間をふさぐために、プロポリスを詰めていきます。シートを取り出したら、そのまま冷凍庫で冷やします。十分冷却するとプロポリスの粘性が下がるので、シートからプロポリスがはがれ落ちやすくなります。この方法で一シーズンに50g/巣箱のプロポリスが収穫できることもあります。
プロポリスの価格は
現在(1997)のところ世界で流通するプロポリス原塊の取引価格は10米ドル/kg程度です。
ミツバチはプロポリスを何に使っているのか
セイヨウミツバチは自分たちの巣を乾燥した、居心地の良い衛生的な環境に保つためにプロポリスを用いています。
プロポリスを巣板や巣の周囲の壁に塗りつけることにより、巣の防水性を高め同時に巣を乾燥から守ることもできます。
巣にできたひび割れやでこぼこもプロポリスを詰め込んで、なめらかにしておけば狭い隅や隙間に微生物が繁殖するのを防止できます。
プロポリスに含まれる揮発性の精油は,おそらく巣内の消毒をする空気清浄剤のような効果をもつでしょう。
巣の建築素材として、出入り口の広さを狭めること、またミツバチの出入りがしやすいように通路をなめらかに整える材料として用いられます。
蜂児巣房に女王蜂が卵を産む前に、巣房の内側にもプロポリスが薄く塗りひろげられます。おそらくこれで巣房は幼虫が無事に成長していける、丈夫で防水性があり、衛生的な小部屋となるのでしょう。
巣に侵入したネズミなどの害敵の死骸で、ミツバチが巣の外に持ち出せない大きさのものは、これをプロポリスで覆い尽くし防腐措置を施します。こうしないと死骸が巣内で腐って感染の源になる危険があります。
コミツバチは、小枝にたれ下げた形に小型の1枚巣板をつくるアジアのミツバチ種です。枝伝いに害敵が近づかないように、プロポリスを巣板近くの枝にリング状に塗りつけています。巣箱にアリなどが侵入しないように養蜂家が巣箱を台に乗せ、その脚に油などを塗るのとよく似ています。
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